しばしば勘違いされることがあるようなので、はっきり言っておきたいのですが、お金持ちの家に生まれたら絶対に幸せになれる、ということはないのです。
実際、私は十分にお金持ちだといえる家庭に生まれて育ちましたが、いまでは特に、自分が幸せだとは思いません。
こいつはぜいたくを言っているんだ、むかつく奴だと、そんなふうに思われても仕方がないとは思いますが、いまの私が幸せを感じていないというのは、間違いなく事実です。

確かに私は、子供の頃から何不自由のない、豊かな生活を送ってきたと思います。
そういうことはしっかりと自覚しているので、そういう生活を遅らせてくれた両親には感謝しているつもりです。
子供の頃は、とにかく世の中のことがわかっておらず、また自分自身のことさえよくわかっていなかったので、お金がたくさんあればそれだけで自分はしあわせになるのだと信じていたことがありました。

けれどもそれは間違った考え方だということに、気が付いたのは大人になってからです。
お金持ちの家に生まれて育っておきながら、私はいったい何を不満に思っているのか、一番簡単にいうなら、私は富豪の家計とその周囲特有のしがらみなどにへきえきとしていました。
決まりごとが多くて、個人の自由があまりにも少ない場面があるのです。
具体的に言うと、恋愛に関することです。

私は、親が勝手に決めた相手と結婚することが決まっているため、自由に恋愛もできません。
五歳くらいまでは、親に洗脳されるような形で、「お前は将来、パパが決めた素敵なお婿さんと結婚できるんだから、何も心配しなくていいんだよ」という父の言葉を信じていました。
パパが決めた素敵なお婿さんというだけで、いったいどれほど素敵な人と結婚できるのだろうかと、期待に胸を膨らませていたのです。
小さいころのことですから仕方がないとはいえ、当時の私はいったいどれだけバカだったのだろうかと、今更悔やんでも悔やみきれません。

パパが決めた結婚相手が、私にとって本当に素敵なお婿さんである確率は低いのです。
低いというより、ほとんどゼロだといってもいいかもしれません。
何しろ私の父親にとって、私の結婚相手について求める要素はただ一つで、すなわち、自分の財力や地位を脅かす心配が絶対にないことです。
そして、私の結婚相手にもある程度の経済力を求めることは言うまでもありません。

私は何も言う資格がないのかもしれませんが、世の中にはお金以上に大切なものがたくさんあります。
そして本当に大切なものに限って、多くの人の目には見えにくいものなのです。
私はとにかく、父が決めた結婚相手と一緒になることだけは、絶対に避けたいと思ったのです。
うまくいくかどうかという問題はまったく別として、とりあえず、自分が納得をして選んだ男性と、心ゆくまでお付き合いをしてみたかったのです。
つまり私だって人並みに恋というものがしてみたかったのです。

けれども、私が父に逆らえるはずもありません。
不満に関してはたくさんありましたが、結局は父の選んだ男性と結婚しました。
結婚式はとにかく盛大に行われましたが、私たちの間に愛はありませんでした。
愛がなかったというより、私たちはたぶん二人とも、そんなものについてよく知ることができる前に、お互いに親が選んだ相手と結婚してしまったのだと思います。

結婚の日が迫った時、父の態度は突然なれなれしくなりました。
私はそのことを今でも嫌な記憶としてはっきり覚えています。
父にとってみれば、まさか私に対してなれなれしくしたつもりなど全くなくて、むしろ自分は娘のために、あれほど素敵な花婿を見つけてきたのだから、その功績を娘本人にも褒めてほしい……というような心境だったのかもしれません。

けれども私にとってはもちろん、父を恨む気持ちはあっても、父に感謝する気持ちなど全くありませんでした。
若いころからずっとお金のことしか考えてこなかった父には、娘の私がどうして父に感謝をしないのか、そこのところが全く分からなかったと思います。
自分が選んだ相手と一緒になれば、娘の私は間違いなく幸せになれると信じているのです。

ある意味、そういった父の無神経さがうらやましく感じられることも多いです。
私はお金持ちの家に生まれたばっかりに、無神経なふるまいを見せることなど(特に女として)絶対に許されない場面が多いので。

そういえば、父と母はどのような経緯で結婚したのでしょう。
二人はきっと恋愛というものを経験していないのだろうなということは、私の実体験から考えてもなんとなくわかります。

例によって父は、私の母が心の中で感じていた不満には気づくことができず、自分たちはきちんと愛し合って結婚したのだなど、間違ったことをいまだに信じているのでしょう。
おそらく父は、男と女が恋愛について求めるものは大きく違うのだということすら知らないはずです。
常に自分の判断や自分の考えることが正しいと信じている人ですから、母が心の中でたとえどんなことを考えていたとしても、にこにこ笑ってさえすればその表情をそのまま信じてしまうのでしょう。

そう考えれば、私の父は本当に単純でバカなのですね。
本当にかわいそうに感じてしまうくらいです。
今まさに、娘の私がこのようなことを考えているということについても気が付いていないのでしょう。

そして私が、一応父の言葉に従うフリをして、父が選んだ男性と結婚したけれども、二人の結婚生活は本当に形だけのもので、全くうまくいっていないということにも気が付いていないでしょう。
寧ろ私たち二人の結婚生活がうまくいっていないことは、私にとって望むべきことで、仕方がないから私は旦那のことを放っておいて、出会い系サイトを利用してセフレとのお付き合いを楽しんでいると父が知ったら、どうなるでしょう。
卒倒するかもしれないので、余計なことは何も言えません。

私の旦那については大丈夫なんですよ、おそらく彼は私と同じような不満をずっと感じていて、私より早くからアプリ せふれを利用して浮気をしているはずですから。

考え方は人によってもいろいろ違うだろうと思いますが、出会い系サイトというものがあるおかげで、いまの時代は性別や年齢に関係なく、恋愛というものがゲットできる時代になっていると思うのです。